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お久しぶりです。
・・・・って前回更新からもう1ヶ月もたつんですね。本当に自分、何やってんだか(-_-;)
てなわけで、やっと新連載スタートしました。
お待ち下さってる奇特な皆様、本当にお待たせ致しました!
やる気だけはあるのに、なかなか筆が進まない私は、ドジでノロマな亀です(-_-;)
映画「スプラッシュ」を元ネタにした現代版人魚姫パロですが、
ガンダムを知らない皆様にもお楽しみ頂けるような仕様になっております。
ガンダムファンの皆様には、ところどころ原作ネタを散りばめたので、
ニヤリとして頂ければ・・・嬉しいです(*´∀`*)
原作のキャラのイメージをぶち壊す恐れがありますが、あくまでも私個人の独断と偏見に基づく勝手極まりないアホなパロですので、叱咤激励、愛の鞭は喜んで受けますが、誹謗中傷、苦情・クレームの類は一切受け付けませんので、あらかじめご了承下さい。
それでは、心の準備ができた皆様へ
「つづきはこちら」からお入りください。
Prologue~渚にて~
「う・・・ん。」
頬にかかる生暖かい息。そのくすぐったさに思わず身じろぎする。
夜明けには少し早い早朝。夜の帷を切裂き、東の空から太陽が顔を覗かせるにはまだ早い。
せっかくの休日なんだから、ゆっくり寝かせてくれよ・・・と朝寝坊を決め込もうとしたところ、
唇をぺろりと舐め上げられた。
そのまま唇から鼻筋、眉間、頬と顔中を生暖かい舌が縦横無尽に走り回る。
「うぅん・・・。や・・・め・・・ベル・・・トーチカ・・・」
激しく執拗な愛情表現に思わず顔を背け、布団に潜り込もうとしたアムロだったが、
今度は耳朶にがぶりと歯を立てられた。
「ベル!いい加減にしないか!」
布団を跳ね除け叫んでみるも、そこには愛しい恋人の姿はなく、
ただ一匹のすっとぼけた顔をした愛犬がいるだけだった。
そうだ。彼女はもうここにはいない・・・。認めたくない現実が胸に重くのしかかる。
今は一人きりで眠る、このベッドの広さが恨めしい。
「よしよし、わかったよハロ。すぐ支度するから待っててくれ、な?」
殴られた痕のように右目を縁どる黒い部分を除けば真っ白で頑丈な身体をすり寄せ、
ちぎれんばかりに尻尾を振りながら、クゥンクゥンと仔犬のような声で甘えてくる愛犬ハロ。
ベルトーチカと同棲することになって飼い始めたこの雄のブルテリアの成犬は
同棲当時は二人の息子とも言える存在だったが、
今は彼女のぶんまでアムロの心を癒してくれている。
心にぽっかり空いた穴を埋めるかのようにその暖かい身体を抱き寄せ、
丸い背中を優しく撫でてやりながらなだめるように言い聞かせると、
まだ朦朧とした頭と重い身体に喝を入れ、餌をねだる愛犬の食事を準備するため
ベッドを立った。
愛犬と自分の朝食を済ませ身支度を整えると、車を海岸へと走らせる。
別に泳ぎたいわけでも、海が見たかったわけでもない。
ただハンドルを握ると、無意識のうちに車を海へ向けていた。
北米大陸のどこかにある大都会ロンデニオン。
海に囲まれ古くから港町として栄えたこの街は、
世界中からの移民を抱える国際的な大都市であるが、
古き良き時代のヨーロッパを思わせる重厚で落ち着いた街並みを残しつつ、
同時に自然の美しさにも恵まれ、街の中心部から30分も車を走らせれば、
海・山・森のいずれかに簡単にアクセスできるため、アウトドアスポーツを楽しむ市民も多い。
アムロの住むコンドミニアムがあるロンデニオン西端のウエストエンド地区は
海岸沿いの閑静な住宅街でビーチへのアクセスも比較的容易なので、
アムロも海が見たいとせがむベルトーチカを連れてよく浜辺を散歩したものだ。
しかし、仕事の忙しさにかまけて日々の生活が疎かになり、
次第に海から足が遠のいていった。そして恋人ベルトーチカからも・・・。
いや、俺はただ怖かっただけなのかも知れない。彼女の本当の気持ちと対峙するのが。
仕事が忙しいというのは、現実から背を向ける口実に過ぎなかっただけなのかもしれない。
・・・・やめよう。もう終わったことだ。今日の俺はどうかしてる。
頭をさっとひと振りし、目の前の信号が青になったのを確認すると、
感傷を吹っ切るかのようにアクセルを踏み込んだ。
住宅街を抜け、湾岸道路を通り抜け、車はようやくサザビー湾に到着した。
街の最西端に位置するこの海岸はロンデニオン市民の憩いの場のひとつであり、
天気のいい日には散歩やジョギング、日光浴を楽しむ人々、
夏になれば海水浴客や花火大会にやってきた人々でごった返す。
しかし秋の訪れを感じるこの時期、ましてや日の出まもないこんな早朝では、
さすがに浜辺を歩く人影は人っ子一人見当たらない。
車を停め、愛犬ハロを伴い、誰もいない早朝の浜辺を散歩する。
この海岸を散歩するのも、ずいぶんと久しぶりだ。いったい何年ぶりだろう。
ふと顔を上げ、海の彼方に視線を移す。
鏡のように静かに凪いだ海。
そのはるか彼方に果てしなく広がる水平線上からは太陽がようやく顔を出し、
まだ薄暗い空を紅に染め始めていた。
自然界が織り成す見事な群青と真紅のコントラストに思わず足を止め、しばし見蕩れる。
海から吹いてくる風がかすかな潮の香りを運び、
耳に流れ込んでくるのは、ただ寄せては返す波の音だけ。
しばし目を閉じ、不思議と心を落ち着かせるその音に耳を傾けながら、
忙しい日常で疲れきった心の洗濯をする。
・・・・さて、そろそろ帰るか。
深呼吸し、潮の香りを含む早朝の冷たく澄んだ空気を胸一杯に吸い込むと、目を開ける。
近くを見渡すと、ハロが自分の傍からいなくなっていることに気づいた。
ハロは賢い犬だ。通常、散歩するときは余程のことがない限り主人の傍から離れることがないので、首輪もリードも付けないことが多い。
しかし油断してつい目を離した隙に遠くに行ってしまったのだろうか。
「ハロ?ハロ!どこだ!」
・・・ワン!ワン!!
約十メートルほど離れた岩場の影から、
吠え声とともにハロの間抜け面がひょっこり顔を出した。
そのまままっすぐアムロの傍まで駆け寄り、ついてこいと言わんばかりに目配せすると、
再び岩場に向かって走り出した。
サザビー湾の片隅にひっそりと存在するその場所は、両脇を岩場で囲まれ、
周囲から少し奥まったところにあり、小さな入り江を形成していた。
市民や観光客で賑わうサザビー湾から隔絶されたその場所は
普段あまり人が足を踏み入れることがないせいか、ゴミ一つ落ちてない真っ白な砂浜と
どこまでも透き通った真っ青な海、そしてそれらを守るかのように聳え立つ要塞のような岩壁で、まるで神話の一頁のような神秘的な風景だった。
ハロを追って砂浜を駆け抜け、ゴツゴツした堅い岩場を通り抜け、
波の侵食によって岩壁に刳り貫かれたトンネルをくぐり、
そこに辿り着いたアムロが目にしたもの。それは・・・・
・・・・人!?
真っ白な砂浜の上、波打ち際に誰か倒れている。
その傍では、早く来いと言わんばかりにハロが吠え立てている。
駆け寄って、その肩を掴んで揺すりながら声をかける。
「おい!君!!大丈夫か?」
うつぶせに倒れているその身体を掴むと、ゆっくり仰向けに寝かせた。
そして触れた肌の凍りつくような冷たさに思わずぞっとする。
透き通るような肌の白さのため、最初は死体かと思ったが、
ごくわずかに上下する胸で、まだ息があることが見て取れた。
年の頃は、二十歳前後だろうか。
朝日を受けて輝くプラチナブロンドの髪は緩やかに波打ち、
その秀でた額と白く滑らかな頬にかかっていた。
そして思わず息を呑むほど秀麗な白皙の美貌と一糸まとわぬその均整のとれたしなやかな身体には、一流の彫刻家が細心の注意を払って作り上げたかのような完璧なバランスと繊細さがあった。
それはアムロが生まれてこのかたスクリーンや雑誌の中でしかお目にかかったことのない
どんな俳優やモデルにも負けないほど―――いや、おそらくそれ以上の美青年だった。
彼のあまりの美貌に思わず見蕩れてしまったアムロだったが、
ふと我に返り、これから彼をどうするか、頭を悩ませた。
このまま何事もなかったかのようにこの場を立ち去ることもできるが、
このまま誰も来そうにないこんな場所に、今にもこと絶えようとする虫の息の青年を
こんなあられもない姿のまま放置することにいささかの後ろめたさを感じた。
ふと周囲を見渡すと、ちょうどおあつらえ向きに岩陰に一台のリヤカーが置いてあった。
もう何年も使ってないものらしく、あちこち錆び付いていたが、なんとか使い物になりそうだ。
おそらく地元の漁師が忘れていったものらしいが、今はそんなことどうでもいい。
ちょっと拝借させてもらうよ・・・。
心の中でこのリヤカーを忘れていった漁師に感謝し、倒れている青年を担ぎ上げリヤカーに乗せると、帰り道誰にも会わないことを祈りつつ、リヤカーを引き引き、元来た道を引き返すアムロだった。
これが後に彼に訪れる波乱万丈な日々の幕開けになるとは夢にも思わずに・・・。
to be continued....