[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今日はハロウィンですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回の更新は前回の更新からちょっと間が空いちゃってすみません(-_-;)
せっかくだし、ハロウィン特集やらかすか、新連載の続きにしようか迷った挙句、
新連載続編執筆になりました。
ちなみに、この“Blue Lagoon Act 1. New Moon”についてですが、
長さ的には、前編・中編・後編の三部作になる予定です。
毎回、更新するたびに後で読み返してみて気に入らない箇所が続々と出てくるので、
すみませんが、今回も前編に少しだけ訂正、加筆しています。
一応、アップする前に推敲はしていますが、読み返す度にボロが目立つので、
ただですら遅筆な上に書き直しを何度もしてるため、牛歩のあゆみの更新で本当に申し訳ないです(-_-;)
毎回毎回言っていることですが、この物語はアホ管理人の独断と偏見に基づく勝手極まりないアホなパロディ二次創作です。
叱咤激励、愛の鞭は喜んで受けますが、誹謗中傷、苦情・クレームの類は一切受け付けませんので、あらかじめご了承下さい。
それでは、心の準備ができた皆様へ
「つづきはこちら」からお入りください。
Act.1 New Moon 2
「・・・・・・・・ロ!
ア・・・・ロ!・・・・ムロ・・!・・・・アムロ!
アムロってば!!」
朦朧とした意識の中、突然名を呼ばれ、我に帰って顔を上げると、
目の前には、幼馴染アンナの呆れ顔。
「もう!アムロったら。さっきから何度も呼んでるのに、全然気づいてくれないんだもん。
はい、これ差し入れ。お疲れ様!」
「ああ・・・ありがとう。フラウ」
ぼうっとした表情のまま、彼女が差し出してきた暖かいコーヒーが入ったマグカップを受け取って口を付ける。
彼女-アンナはアムロの同郷出身の幼馴染で、今は同じコンピュータ会社ロンド・ベルで受付嬢として働いている。
フラウはもちろん渾名である。ドイツ語で「奥さん」を意味するこの名前は、ドイツ系移民の血を引くアンナのアムロへのあまりのかいがいしい世話焼きっぷりに、会社の同僚たちが面白がってつけた。
小柄なブルネットの可愛らしい女性で、誰もが振り向くほどのとびっきりの美人というわけではないが、親しみやすい笑顔と気さくな態度で社員はもとより、来客や取引先からもすこぶる評判がいい。
アムロとはもう20年来の付き合いである。もっとも、「幼馴染」としての関係だが・・・。
「どうしたの?ぼうっとしちゃって。熱でもあるんじゃない?それとも何か心配事?」
「い・・・や、なんでもない。ちょっと考え事してただけだ。」
あの不思議な青年との浜辺での出会いから、ほんの一日しかたってないというのに、
脳裏に浮かぶのは、あの金髪の青年のことばかり・・・。
おかげで今日は仕事にいまひとつ身が入らない。
・・・今頃、一人っきりの部屋で何してるんだろう。
まだ寝てるのかな?身体はもう大丈夫かな?朝食は彼の口に合うだろうか?
ハロがじゃれついて困らせてなきゃいいけど・・・。
途端に、今朝の情景が脳裏にフラッシュバックする。
朝日を背に浮かび上がるプラチナブロンドの美青年。
その姿はあまりにも浮き世離れしていて、今にも溶けてしまいそうに儚げで・・・。
そういえば、まだ名前も聞いてなかったな・・・。
・・・そして、どこからやってきたのかも・・・。
この街の、いやこの国の人間なのか、それとも・・・。
―――彼は果たして、本当に「この世の」人間なのだろうか・・・?!
・・・馬鹿な!いったい何考えてんだ俺は?!
一瞬浮かんだ考えを打ち消すかのように頭をさっとひと振りすると、
目の前の仕事に集中しようとパソコンのモニターに目を移す。
「そう・・・?ならいいんだけど。あ、そうそう、さっきブライト課長が呼んでたわよ。早く行ったほうがいいわよ?」
「うん、わかった。すぐ行く。」
心配そうに覗き込んでくる幼馴染に、自分の心のうちを知られてなるものかと敢えて平静を装う。
子供の頃から何故か勘が鋭い彼女には、いくら隠し事をしてもすぐにバレてしまう。
幼馴染でありながらも、「古女房」面で何かとお節介を焼いてくる彼女に苛立ちを覚えることもしばしばあるが、気の利く彼女のおかげで助けられることも多く、結局彼女には頭が上がらないアムロだった。
・・・まったく、フラウには敵わないよ・・・。
軽く肩をすくめ、パソコンのモニターを消すと、立ち上がった。
その頃、ロンデニオン郊外、ウエストエンド地区のアムロのコンドミニアムで
一人取り残された件の金髪の青年が何をしていたかと言うと・・・・・。
塩の入った瓶を片手に、そっとバスルームのドアを開ける。
真っ暗な浴室の中、手探りで浴室用の明かりを付けてみると、あまりの明るさに目が眩む。
調光スイッチで明かりを半分ぐらいに落とすと、ほの暗い浴室の中、
青年の白皙の肌とプラチナブロンドが淡い光を放ち、ぼうっと幻のように浮かび上がる。
バスタブの蛇口を捻って湯加減を調整する。
蛇口から勢い良く流れ落ちる湯がバスタブを満たす間、手にした塩の瓶を傾ける。
そのまま湯をかき混ぜながら、塩の濃度を調整する。
バスタブが一杯になり、ちょうどいい頃合に湯と塩が混ざり合ってきたのを確認すると、
羽織っていたガウンを肩から滑り落とす。
途端に、若鮎のようにしなやかな均整のとれた裸体が露になる。
広い肩と厚い胸に対して細く引き締まった平らな腹、丸く形良く盛り上がる尻からまっすぐに伸びる長くしなやかな脚。
滑らかできめ細やかな白肌と、細身ながら古代の彫刻を思わせるような無駄のない美しく強靭な筋肉が、流れるように優美なラインを描く。
繊細さと精悍さ、優雅さと男性美が絶妙なバランスで融合するその裸体は、まさに一流の名匠による芸術品のようだった。
バスタブの縁を乗り越え、少し大きめな浴槽に身を横たえる。
手足が長く、長身の彼が身体を伸ばしても、なお余りあるほど大きなバスタブ。
それはかつてアムロと同棲することになったベルトーチカのたっての願いによるものだった。
この家の主人であるアムロ自身は何日も、いや、下手すると何週間も風呂に入らなくても平気だったが、綺麗好きで大の風呂好きなベルトーチカが是非、広いバスタブ付きのマンションに住みたいと強く希望した結果、この地区の不動産相場にしては若干値が張ることを承知の上で、ここに引っ越してきたのである。
バスタブを満たす湯の中にそっと身を沈める。
暖かく心地よい湯に全身抱かれていると、
まるで母親の胎内にいる赤子のように安らかな気分になる。
ほんのり漂ってくる「故郷の海」を思わせる塩の香りに、
身も心も溶けるようにほぐれていく・・・。
そう、身も心も・・・・・・。
塩混じりの暖かな湯に身を沈める彫刻のような見事な裸体。
しかし、その腰から先にあるもの、それは・・・・・。
長くすらりと伸びる二本の脚ではなく、血のような真紅の鱗に覆われた尾鰭だった。
・・・やはり、この姿が一番、落ち着くな・・・。
正真正銘、「生まれたままの姿」に戻った自分の姿を見て、満足げに微笑むと、
心地よい湯の中に頭ごと潜り込んだ。
課長のブライトとの打ち合わせが終わり、ふと腕の時計に目を移すと、
終業時間まで残り僅かなことに気付き、急いで自分のデスクに戻る。
残りの仕事を片付けようとパソコンのモニターを立ち上げたとき、
パーテーションの上から、軽い声が降ってきた。
「よお、アムロ!その仕事終わったら、飲みに行こうぜ!」
顔を上げると、パーテーションの上から間の抜けたニキビ面がひょっこり顔を覗かせた。
ひょろりとのっぽで痩せぎすのこの男―カイ・シデンは、アムロがロンド・ベルに入社したときからの同期で、公私ともに付き合いは長い。所謂「悪友」である。
プエルトリコからの移民の家系に生まれ、陽気で女好きな正真正銘の「ラテン男」だが、
頭の回転が早く、機転も利くため、仕事もできるので社内ではかなり重宝されている。
ただ、毒舌が過ぎるのが玉に瑕だが・・・。
「ダウンタウンにいい店見つけたんだ。スコッチ・ウイスキーとフィッシュ・アンド・チップスが美味いって評判だってよ。」
「いや、今日はやめとくよ。」
「なんだよ、付き合い悪いな~!女紹介してやろうってのによ~。」
「悪いな。今日はちょっと予定が入ってるんだ。」
「予定ってなんだよ。さては、デートか?新しい女でもできたのか、ええっ?」
「・・・馬鹿。そんなんじゃないよ。」
絡んでくる悪友を軽くいなし、僅かに残った仕事を大急ぎで片付け、
パソコンの電源を落とす。
カバンを携え、車の鍵を取り上げると、席を立った。
....to be continued